しぶんぎ座流星群2019
撮影:及川聖彦
2019年1月4日1時07分~5時50分 シグマ14mm f1.8 ニコンD5(ISO25600) 露出各4秒 総撮影コマ数4032 しぶんぎ群の流星が写った30コマを比較明合成 撮影地:富士山西臼塚駐車場
2019年の幕開けをかざるしぶんぎ座流星群は、極大予想こそ国内では観測できない時間帯でしたが、月明かりのない好条件にくわえて、太平洋側を中心におおむね好天に恵まれ、各地で精力的な観測が行われました。
日本流星研究会のメーリングリストなどに寄せられた観測報告から、内山茂男氏によって1月7日に公表された速報によると、眼視では例年よりやや遅い12月24日明け方に初期活動が認められ、下弦の月明かりがあった大晦日早朝や元旦にかけてはHR=6~8・ZHR=6~8の出現を見せていました。極大付近の動向では、まず1月3日早朝にHR=13・ZHR=9とやや低調な印象がありましたが、国内でもっとも活発な活動が観測されるものと期待された4日早朝は一晩合計でHR=34・ZHR=50の出現となりました。この夜の傾向としては4日01時台のZHR=36から同05時台のZHR=56と、明け方に向かって次第に活発化する様子がとらえられました。一部の報告では薄明開始となる05時台以降、急激に出現数が増加したとのコメントが複数寄せられていますが、集計されたデータではその時間帯に大幅な変動はありませんでした。明るい群流星についても-4等程度の火球が複数観測されているものの、大物といったレベルのものは出現しなかった模様です。
今回は予想極大が4日11時ごろと予想され、国際流星機構による速報でも同じ時間帯にZHR=94の出現がヨーロッパ方面を中心に観測されていますが、時折とらえられるZHR=100を超える規模とはならず、ZHR値で50を超えていたのは4日04時台から14時台のわずか10時間のみでした。なお杉本弘文氏による国際規模の電波観測でも、眼視と同様の結果が得られています。極大後は例年どおり急速に減少し、翌5日は一晩合計でHR=6・ZHR=12、ZHR値では01時台の22から05時台の10へと激減する傾向としてとらえられましたが、そんな状況のもとでも同日03時23分には今回の活動期でもっとも明るい-5等の火球が観測されていて、複数地点にパトロールカメラによる解析から神奈川・山梨県境上空を北東から南西へ飛行したものと推定されます。その後は散在流星に近いレベルの出現数で推移し、10日ごろに今回の活動をほぼ終えました。(長田和弘:天文ガイド「流星ガイド」執筆)