2020年のふたご座流星群は月明かりの影響がまったくない好条件下での観測が約束されていましたが、注目の極大期は全国的に天候が優れなかったことから、日本流星研究会に寄せられた観測は昨年と同様に少なめに終わりました。
12月16日朝までに寄せられた情報では、まず極大前日の12月13日深夜から14日早朝にかけては全国的な晴天のもとでZHR=40~50の出現が認められましたが、暗い群流星が出現の大半を占め、火球クラスの流星はごくわずかでした。今回は14日午前中が世界的な極大と予想され、国内では見かけの極大として大いに期待された13日深夜から14日早朝にかけては、絶えず薄雲が往来したことから西日本方面では残念ながら観測不能となった場所がほとんどでしたが、東日本では比較的影響が少なく、一晩合計でZHR=100~110、個別には02時台以降でHR=200を超える報告があるなど、時間の経過とともに明け方に向かって急速に活発化する様子が観測されました。出現数の面では期待どおりでしたが、前日と同様に暗い流星が主体の活動である傾向は変わりませんでした。それでも13日22時03分には東北南部から東海地方にかけてふたご座群に属する-5等の長経路火球が観測され、情報を総合すると栃木県上空を東南東から西北西へ飛行したものと思われます。また同日23時22分には今回の活動期でもっとも明るい-7等の火球が関東~東海地方で目撃され、こちらは静岡県西部上空に出現したものと推定されます。この他、関東地方では14日02時57分にも-5等の火球が観測されるなど、見かけの極大夜ながら盛況ぶりを示すこととなりました。その後はさらに活発化し、国際流星機構の速報では14日10時台にZHR=140のピークに達しました。
世界的なピークを経過した後、国内では14日夜から15日早朝にかけて冬型の気圧配置が強まった一方で、関東南部では局地的な前線が発生して天候の回復が遅れたことから前日と同様に観測報告は少なく、ZHR=30~50と前日の半分程度まで激減しました。過去の経験則と同様に夜半前は明るい群流星が目立ち、15日01時57分には北関東上空に-6等のふたご座群火球が出現したものの、その後は急速に衰える傾向にありました。活動が終息する様子は例年どおり極端な傾向にあり、翌15日夜から16日早朝にかけてはZHR=10~15まで激減していました。この他、活動全般の詳細や海外の状況・火球情報については、天文ガイド2021年3月号(2月5日発売)の「流星ガイド」にてお知らせします。
2020年12月13日23時22分の火球(撮影:長田和弘)