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アイデア No.399 2022年 10月号

編集: アイデア編集部

定価(税込)3,300円

発売日2022年09月09日

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世界のブランディングデザインの最前線を紹介します! アイデア編集部 : 西

内容

社会が成熟し、機能や品質、造形的な美しさだけでは市場に溢れる商品やサービスの差別化が難しくなっている現代において、“コト”をどのようにデザインするかというデザイナーの職能はますます求められている。そうしたデザインの実践の場のひとつが、本特集で取り上げるブランディングデザインという領域だが、従来のような優れたコーポレートアイデンティティや商品パッケージをデザインするだけでは現代のブランディングデザインは成立しない。より良い社会や環境への配慮があり、透明性と持続可能性のある商品サービスであるか、やりがいや豊かさを生むビジネスであるかなど、企業理念や組織運営と一貫した思想のもとにモノやコトがデザインされていることが成功事例として必要な条件だろう。

 

このように複雑化するブランディングデザインの領域において、グラフィックデザイナーたちが培ってきた思考のプロセスや具現化の方法を整理し、デザイナー以外の人にも応用できるアプローチとしてまとめられたのが、2010年前後を境に世界的なトレンドとして注目されている「デザイン思考(Designthinking)」だ。具体的には、デザイナーたちがクライアントや消費者のニーズを経済的・技術的な制約があるなかで実現しようとする際の行動指針であり、機能性だけでなく感情的な価値にも重きを置く人間中心のアプローチだといえる。人対人のコミュニケーションを通じて考えを共有・共感しあい、そこからニーズや問題を突き止め、アイデアを具現化する。さらに、トライアル・アンド・エラーを繰り返し、コンセプトを改良していくという、プロセス重視型の提言だ。

 

アメリカで提唱されたこの考え方は、日本でもビジネスを変える革新的なアイデアとして関連書籍が多数刊行されるなど大きな反響を呼んでいるが、“誰でも取り入れられる”という点がひとり歩きし、インスタントなビジネス論として誤った受け入れられ方をしているところもあるだろう。「デザイン=課題解決」といった広義のデザインの浸透により、デザインさえあればどんな問題でも解決できるという、まるで“デザイン”が魔法の言葉であるかのような誤解を招いているように思う。

 

そこで、本特集では、日本、アジア、オセアニア、中東、欧米の7つのデザインスタジオを取り上げ、クライアントの希望を叶えることだけでなく、自分たちに合ったものづくりの環境を探求し、生き生きとした仕事を具現化している人間中心のデザインの実践者たちを紹介していく。彼/彼女らのものづくりの姿勢を通じて、本来「デザイン思考」で提唱されていた考え方について再考し、よりよいかたちに更新していくためのヒントを探していきたい。

 

 

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ここだけの話

謎の多い中東のデザインシーン

今号の特集では、日本、アジア、オセアニア、中東、欧米の7つのデザインスタジオに協力を依頼。メール取材を中心に、それぞれの仕事や拠点となる街のデザインシーンについてききました。

 

なかでも日本のメディアではこれまで取り上げられることがなかったのが中東のデザインシーンでしょう。

 

特集では、編集部スタッフが2019年のアンマン滞在の際にスタジオ訪問をしたことのあったeyen designの仕事を通じて、その様子を紹介しています。

中東と地中海文化が混ざり合うアンマンの街並み

アンマンの中心部には土地の高低差を利用した街並みが広がっています。

 

建物は基本的に石や砂で出来たベージュの中東建築で、リノベーションをしながら古い建物が活かされています。

 

飲食店や問屋街が密集するゾーンがあったり、遺跡や広場のような場所があったり、高台の方にはヨーロッパ風の高級住宅が立ち並んでいたり……ちょうど中東と地中海やヨーロッパ的な文化が混ざり合っています。

新しいデザイン・アートの潮流

eyen designの設立は2016年、スタジオを立ち上げふたりのデザイナーは他の事務所でキャリアを積んだ後に独立し、現在はヨルダンだけでなく、レバノンやUAEなどのクライアントとも協働しています。

 

 

日本人にはあまり馴染みのない国々ですが、アラビア文字を使う文化圏のなかで、デザイナーたちも国を超えた活動をしているのが特徴でしょう。アンマンには彼らのようなスモールスタジオが増えつつあるそうで、それぞれユニークなプロジェクトを展開しています。

 

 

 

ほかにも、今回の特集ではスタジオごとの個性的な活動土地に根付いた仕事を紹介しています。デザインの実例だけでなく、ぜひインタビューを通じてデザイナーたちのライフスタイルや人生観にも注目していただきたいです。

雑誌紹介

1953年の創刊以来、グラフィックデザイン、タイポグラフィを主軸に、古今東西のデザインの状況を世界にむけて伝え続けるデザイン誌。毎号異なる仕様とハイクオリティの印刷により最先端のヴィジュアルカルチャーを紹介しています。専門性・資料性の高いコンテンツに加え、マンガ・アニメ,ゲームといったサブカルチャーにデザイン的な視点から迫る企画など、間口の広さも魅力です。

商品名アイデア No.399 2022年 10月号

商品名(カナ)アイデア ナンバー399 2022ネン10ガツゴウ

編集者名アイデア編集部

判型A4変(縦297mm×横225mm)

[特集]いま、デザインの現場では 世界のブランディングデザインの思考と実践
企画・構成:アイデア編集部
デザイン:LABORATORIES(加藤賢策、守谷めぐみ)
協力:サキ・ホ、きむみんよん

 

1. FISK

 

2. Kokoro & Moi

 

3. CEKAI
[インタビュー]
CEKAI バリアブルな組織と拡張するクリエイション
聞き手:アイデア編集部
構成:高橋創一

 

[寄稿]
デザインの新時代 文:ポール・ベネット(IDEO)

 

4. STUDIO NA.EO

 

5. eyen design

 

6. Seachange

 

7. Bureau Borsche

 

[寄稿]
クリエイティブの仲介役:ブランドと代理店の間 文:ニコラス・ベル(AUFI)

 

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[連載]
CRITIQUE&CONTEXT 批評とコンテクスト
第3回:批評で何を評価するのか?
文・デザイン:イエン・ライナム 翻訳:山本真実 

 

[連載]
MIRRORS 鏡の国のグラフィックデザイン
Vol. 4:Independent Practice
構成・文・翻訳:後藤哲也 デザイン:Sulki & Min

 

ギンザ・グラフィック・ギャラリー 第389回企画展
「Yui Takada with ori.studio CHAOTIC ORDER 髙田唯 混沌とした秩序」
信頼という軸がつないだコラボレーション 座談会:髙田唯× ori.studio ×西尾健史
聞き手:アイデア編集部 通訳:古屋言子  デザイン:ori.studio
会場写真:藤塚光政 写真データ提供・協力:ギンザ・グラフィック・ギャラリー

 

「よむかたち」をよむ
永原康史の歩み
文・デザイン:長田年伸

 

タイポグラフィの場をつくる
TDCの変革とアジア圏への展開 インタビュー:クセニャ・サマースキャ
聞き手・翻訳:きむみんよん デザイン:山田和寛(nipponia)

 

インフォメーション

 

新刊紹介

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