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近刊

考える機械たち

歴史、仕組み、倫理―そして、AIは意思をもつのか?

著者: インガ・ストルムケ  /  翻訳: 羽根 由  /  監修: 小林 聡

定価(税込)2,640円

発売日2025年06月11日

ISBN978-4-416-52440-4

北欧ノルウェーからAIをテーマにした最新サイエンス・ノンフィクションのベストセラーが上陸

内容

松尾豊氏(東京大学大学院教授)推薦!

 

ブラーゲ賞ノンフィクション部門受賞。
AI(人工知能)の歴史、現在、未来の展望をわかりやすく解説する、ノルウェー発のサイエンス・ノンフィクションが上陸。

 

本文は3部構成となっており、まずは人工知能の歴史。次いで人工知能の最先端の現状と、人間が問題解決や意思決定まで機械に任せるとどうなるのかの倫理的、進化論的考察。最後に、創造性、意識、人工知能の未来の問題を論じます。どれも具体的な逸話が豊富で、かつコミカルな口調とテンポのよい解説は秀逸で、人工知能に詳しくない読者でも気軽に読むことができます。

 

第1部の歴史では、18世紀の「チェスをするトルコ人の人形」から始まり、アラン・チューリング、DeepBlue……そして教師あり・なし学習、ニューラルネットワーク、ChatGPTなどなど。損失関数設計の問題に登場するのは、超インテリジェントなお掃除ロボット。家をきれいにすることに勤しむロボットは、ある日こう気づくかもしれない。汚れの元凶はあなたであり、最適解とはあなたを排除することだと……。

 

第2部の人工知能の現状での逸話は、オスロ中央駅近くのピザチェーンにあったデジタル看板の話。メニューに載っている食べ物の写真を次々に映し出すだけでなく、なんと隠しカメラでそれを見ている人の表情を観察していました。その一方で、テスラ車はカメラで周囲の状況を撮影しています。この2例から著者は、「データを集めること」と「データの使用目的」は分けて考えるべきだと語ります。さまざまな事例を引き出しつつ、人工知能の現状と問題点を説明します。

 

第3部は、AIの倫理をどう考えるか。その結論は、規制はすべきだが、その過程は簡単でも単純でもない。このまま機械に意思決定を任せてしまうと、人間の意思決定能力が低下するとの意見があるが、これは進化論上、普遍的なこと。データを集める目的は何か、同意をどのように得るのか? 大衆、AI技術者、政治家のあいだで人工知能に対する考えは異なります。EUで進んでいる人工知能に関する法の整備についても論じます。

著者紹介

インガ・ストルムケ(インガ ストルムケ)

ノルウェー科学技術大学のコンピュータ・サイエンス科准教授。1989年ドイツ生まれ。もともとは素粒子物理学が専門だったが、その調査に人工知能を使っているうちに関心が移り、研究分野を変えた。現在の研究テーマは「人工知能が何を学んでいるのかを知ること」。ポッドキャストなどで一般向けに人工知能の説明をおこなっている。本書は2023年4月に発行され、人口550万人のノルウェーで7万5000部以上を売り上げ、デンマーク、スウェーデン、ドイツで翻訳刊行された(2024年12月時点)。

羽根 由(ハネ ユカリ)

スウェーデン語・ノルウェー語翻訳者。大阪市立大学(現・大阪公立大学)法学部卒業。ルンド大学法学部修士課程修了。共訳書に『「人間とは何か」はすべて脳が教えてくれる』(2020年、誠文堂新光社)、『海馬を求めて潜水を』(2021年、みすず書房)、単訳書に『森の来訪者たち』(2022年、草思社)などがある。

小林 聡(コバヤシ サトシ)

東京大学大学院理学系研究科博士後期課程満期退学。博士(理学)(東京大学)。龍谷大学理工学部助手を経て、現在、京都産業大学情報理工学部教授。研究分野は数理論理学及び理論計算機科学。数学的な証明とコンピュータプログラムの間に成立つ対応関係に興味を持っている。音楽好きで、高校時代にはバンドを3つかけ持ちしていた。その経験を生かして、学生には卒業研究で音楽情報処理を教えている。著書に『岩波数学辞典第4版』(分担執筆、2007年、岩波書店)、『構成的プログラミングの基礎』(共著、1991年、遊星社)などがある。

商品名 考える機械たち

商品名(カナ) カンガエルキカイタチ

著者名 インガ・ストルムケ

翻訳者名 羽根 由

監修者名 小林 聡

判型 四六

ページ数 384

はじめに

■第1部 こうして始まった
第1章 歴史を少しかいつまんで
世界で最も成功したいたずら
アルゴリズム
コンピュータ
ゲーデル、チューリング、フォン・ノイマン
「人工知能」の誕生
チェックメイト
論理思考のショウジョウバエ
宇宙最高のチェスプレーヤー
機械の時代

第2章 機械を知的にする試み
シンボリックAI
エキスパートシステム
イライザ効果
AIの冬と春
学習する機械
教師あり学習
花と決定木
サブシンボリックAI
ニューラルネットワークの歴史
どんなものでも学ぶ

第3章 データを求めて
真の分布
機械学習用データ
偽の分布
統計学者とジャーナリストのバイアス
データは高くつく
長く問題のあるしっぽ
自分でデータを見つける

■第2部 今日の人工知能
第4章 その目で見るまでは信じられないでしょうが
世界は行列だ
見たものをほぼ理解する機械
シンプルはたいてい間違っている
人間よりも多くのことを理解する機械
人工的直感とチェスの概念
メンタルヘルス
個人データの保護
説明を受ける権利

第5章 中に誰かいるの?
話し相手はAI
機械に宿る精神
ChatGPTとノルウェーの教師たちの不安
問題を語る
意識のチューリングテスト
創造する技術
ノイズから現実へ

第6章 私たちの人工知能ライフ
機械革命
倫理の世界
誰かが決めなければならない
電流戦争とAI法
AI開発の社会的ジレンマ
プライバシー保護の向かう先

第7章 機械学習モデルを攻撃する方法
善意ある賢い機械
機械の幻覚
3次元の芝刈り
次元の呪い
裏口
AIの冬と政治
自律とコントロール

■第3部 明日の人工知能
第8章 スーパーインテリジェンスをめぐる臆測
人工知能の創造性 
スピーチと音響 
データ利用 
AI倫理と道徳的主体 
汎用知能と超知能 
機械の目標、人間の目標、メサ最適化
自分について考える脳

画像の出典 
注釈 

お詫びと訂正

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