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21.5世紀の社会と空間のデザイン

変容するビルディングタイプ

著者: 中村 陽一 / 著者: 髙宮 知数 / 著者: 五十嵐 太郎 / 著者: 槻橋 修

定価(税込)3,520円

発売日2022年09月12日

ISBN978-4-416-52101-4

人生100年時代の折り返し点2050年=21.5世紀の働き方や暮らし方など変化を社会学の視点で解説。

内容

激動の予感に満ちた21世紀中葉(21.5世紀)に向けて、考古、建築、舞台芸術、社会デザイン等20名の論客たちが提示する社会と空間の見取り図。佐藤信と伊東豊雄の特別対談では、百年、千年単位で考える公共圏のための空間を明らかにする。

 

アメリカ同時多発テロで幕を開けた21世紀は、激動の予感から始まった。そして現在、世界は新型コロナウイルスによるパンデミックという未曽有の危機に直面し、その予感が実感として目前に迫る。コロナ禍によって、経済活動、公衆衛生、そしてライフスタイルに至るまで様々な変容が余儀なくされたが、それは果たして「ニューノーマル」として定着するのか? それともコロナ以前へと回帰していくのか? 本書は、21世紀の折り返し地点、いわば「21.5世紀」に向けて変容し続ける私たちの生活、街、そして社会のあり方について多角的な視点から考察を重ねた。

 

本書では、多くの人が日常的に親しんでいる住宅やオフィスなどの建築、そして劇場という施設=空間を、ビルディングタイプというその使い方やしつらえから多面的に眺めた。そして、社会とともに変化してゆくこれからの建築や空間における重要かつ注目すべき点を、百年、千年単位で考える公共圏のための空間をはじめ、社会デザイン、考古、建築、舞台芸術等、20名の論客たちが鮮やかに示した。
これは、前著『ビルディングタイプ学入門―新しい空間と社会のデザインがわかる』(誠文堂新光社、2020)企画時点から編者たちが抱いていた問題意識でもあった。「短期的な変化」ではなく、「中長期的な社会の変容によるものである」という点から、前著では、主要なビルディングタイプの起源や変遷を丁寧に追いかけ、現在抱える課題や先進事例を紹介することで、ビルディングタイプの変容までを紹介した。しかしその分、読者層を狭めたきらいがあったことは否めない。
その点を受け、本書では、コロナ禍で見直された人と人との距離感や空間コントロールに対する意識の変容は、社会そして空間という概念をどのように変化させるのかという問いと、その変化との立ち向かい方のヒントを指し示す。具体的には、コロナ禍を挟んで編者・著者が学生たちと取り組んできた、街づくりやポストコロナ空間の設計競技の紹介とともに、それらの取り組みによって明らかになった、これからのリアル/デジタル両方の社会と空間におけるキーワードである「公共性」についての考察である。それは決して、コロナ禍による一時的、一過性のものではない、都市誕生以来の歴史や文化も踏まえた、説得力のある応えである。今、そしてこれからを生きる人々の期待に応える一冊となる。

著者紹介

中村 陽一(ナカムラ ヨウイチ)

立教大学名誉教授、一般社団法人社会デザイン・ビジネスラボ代表理事、社会デザイン学会会長。東京大学客員助教授、都留文科大学教授、立教大学21世紀社会デザイン研究科・法学部教授、社会デザイン研究所所長等を経て現職。80年代半ばより市民活動・NPO/NGOの実践的研究、基盤整備に取り組む。SB/CB、民学産官協働によるまちづくりの専門家としてCSRSDGs等もカバー。ニッポン放送「おしゃべりラボ」 パーソナリティ。編著・共著に『311後の建築と社会デザイン』(平凡社新書)、『新しい空間と社会のデザインがわかるビルディングタイプ学入門』(誠文堂新光社)等多数。

髙宮 知数(タカミヤ トモカズ)

プロジェクトデザイナー/マーケティングプロデューサー。立教大学社会デザイン研究所研究員。立教大学21世紀社会デザイン研究科兼任講師。東日本国際大学地域振興戦略研究所客員教授。座・高円寺劇場創造アカデミー講師。株式会社ファイブ・ミニッツ代表。社会デザイン学会理事。NPO 法人文化の居場所研究所共同代表。共著に『街直し屋』(晶文社)他。

五十嵐 太郎(イガラシ タロウ)

1967年生まれ。建築史・建築批評家。1992年東京大学大学院修士課程修了。博士(工学)。現在、東北大学大学院教授。あいちトリエンナーレ2013芸術監督、第11回ヴェネチア・ビエンナーレ建築展日本館コミッショナーを務める。「インポッシブル・アーキテクチャー」などの展覧会を監修。第64回芸術選奨文部科学大臣新人賞。『モダニズム崩壊後の建築ー1968年以降の転回と思想ー』(青土社)『誰のための排除アート?』(岩波書店)、『増補版 戦争と建築』(晶文社)ほか著書多数。

槻橋 修(ツキハシ オサム)

1968年富山県生まれ。1991年京都大学建築学科卒業。1998年東京大学大学院建築学専攻博士課程退学。同年、東京大学生産技術研究所助手。2002年ティーハウス建築設計事務所設立。2009年神戸大学大学院准教授。博士(工学)。主な作品:「神戸市立北神図書館」(2019年、神戸市)、「南町田グランベリーパーク」ランドスケープデザイン(2019年、東京都町田市、2020年度都市景観大賞(国土交通大臣賞)共同受賞)、2015年日本建築学会賞(業績)共同受賞。2021年日本建築学会賞(復旧復興特別賞)共同受賞。

商品名 21.5世紀の社会と空間のデザイン

商品名(カナ) ニジュウイッテンゴセイキノシャカイトクウカンノデザイン

著者名 中村 陽一

著者名 髙宮 知数

著者名 五十嵐 太郎

著者名 槻橋 修

判型 A5

ページ数 256

■総論
ビルディングタイプと社会デザインはどこへ向かうのか
21.5 世紀の社会と空間のデザインへ向けて─文明社会の危機管理と木の葉のざわめきを意識しつつ 中村陽一
ビルディングタイプのゆくえを考える 五十嵐太郎
タイプとしての「未来都市」 磯達雄

■第1部 日常から積み重ねるデザインアプローチ
プレスメイキングの現場で生まれるささやかな気づき 西田司
トピックス(1) Design Camp2020ワークショップ「ポストコロナの街づくり」
タクティカルアプローチが21.5 世紀のビルディングタイプを拓く 槻橋修+神戸大学槻橋研究室
トピックス(2) 「ポストコロナの社会と暮らしに応えるデザイン」

■第2部 公共圏のための空間──百年、千年単位で考える
キーノートセッション対論 佐藤信+伊東豊雄

1.広場――公共圏としてのオープンスペース
日本における先史から古代の広場・再論─人々が集う場(広場)の考古学  橋本裕行
中国都市における市 小澤正人
インダス文明の広場(庭) 宗䑓秀明
古代メソポタミアの都市景観―古代都市における広場のあり方について 小泉龍人
古代エジプトの広場的空間 遠藤孝治
近現代の広場 市川紘司+東北大学大学院五十嵐太郎研究室
これからの都市公園の公共性について 山﨑誠子

2.劇場――文化芸術の居場所というビルディングタイプの行方
劇場の歴史を公共性から振り返る 坂口大洋
小劇場と〈公共〉―〈 脱植民地状態〉を再び意識するために 内野儀
劇場の公共について―これから起こることの先憂として 伊藤裕夫
舞台技術の大変革は劇場の公共性に何をもたらすのか
 インタビュー#1 舞台技術全般 創作発信型劇場の新しいモデルを目指して 堀内真人
 インタビュー#2 照明 機能を最大限に生かす人材育成を 黒尾芳昭
 インタビュー#3 映像 映像と舞台技術の共存と調和へ 飯名尚人
COVID-19とこれからの劇場 佐藤信

■おわりに 21.5世紀の社会と空間デザインのために
21.5 世紀のデザインに、公共を実装する 髙宮知数

■付録 大和ハウス工業株式会社寄付講座「文化の居場所を考える」全記録

お詫びと訂正

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